面接(15)/虹村 凌
ったセブンスターで、新しく取り出したセブンスターに火をつけた。こうでもしなきゃ、俺の間が持たない。下手をすれば、また女を求めてしまいそうだ。かろうじて抑えている理性を、昨日のように壊す訳にはいかないのだ。理性がそう叫ぶ。本能は壊せと叫ぶ。それを察したのか、女はなかなか帰ろうとしない。
「時間、大丈夫か?」
俺は耐え切れずに、女に聞いた。
「うん、そろそろ」
「そうか」
「駅まで、送って?」
「あぁ」
あまり、何も考えずに、反射的に答えた。
外に出ると、女は俺の手を握ってきた。俺も、女の手を握り返す。特に会話も無いまま、駅に到着した。それまでの間、ずっと手は握ったままだった。
「じゃあね」
「おう」
「また電話するね」
「おう」
「彼女に、ちゃんと言ってね」
「…うん」
それだけ言うと、女はさっと俺の手を離して、改札口の向こう側に消えていった。
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