面接(15)/虹村 凌
ンスターやピース、マルボロライトを処理して、部屋中に消臭スプレーを撒く。飛び散った俺も、溢れた女も、全部綺麗に拭き取って、俺は部屋を、眺めた。たった半日で、また、この部屋に、女との思い出が色濃く染み付いた。いくら綺麗にしても、いくら掃除をしても、そのシミが消える事が無い。
ドアを開けて、タオルをまとった女が出てきた。
「掃除したの?」
「あぁ」
「綺麗になったね」
心臓が凍りつくような思いを、した。綺麗になったね、と言うたったそれだけの言葉が、胸の真ん中を突き抜けていったのだ。あぁ、綺麗にしたさ。俺は、何も無い平穏な幸せを、壊したくないんだ。
「あぁ」
とだけ答え
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