面接(15)/虹村 凌
 
「あははっ」
「な、なんだよ」
「可愛い。こっちおいで」
 女がひらひらと手を振って、俺を招いている。俺は黙って彼女の横に体育座りをした。女の手が、俺の頭をクシャクシャと撫でる。思わず、幸福だ、と呟きそうになった。彼女といた時には無かった、この激しい高揚感を伴い幸福が、今、ここにある。罪悪感がスパイスとなって、その幸福はより大きな幸福となる。女は、マルボロライトを吸い終わるまで、ずっと片手で俺を撫でていた。俺はずっと、体育座りをして、撫でてもらっていた。
「もうちょっとしたら、帰るね」
「うん」
「シャワー貸りていい?」
「うん」
 女は立ち上がって、シャワールーム
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