面接(16)/虹村 凌
 
ろうよ」
「うん」
 電気のつかない暗い脱衣所で、二人はもぞもぞと服を脱いで、湿った空気の浴室に入った。俺は入浴剤に手を伸ばし、湯船の中に入れた。緑色の粉は、まるで水中で立ち上るきのこ雲のように広がって、急速に溶けていった。
 俺はお湯の温度を確かめて、自分と彼女にかけ湯をしてから、ゆっくりと湯船に使った。彼女も続いて、湯船につかる。彼女は俺によりかかるようにして、湯船の中で二人、座った。沈黙が続く。疲れている彼女に、言うべきなんだろうか。正直、迷いがある。今、言わなきゃいけない気がするけれど、正直、今の彼女に言うべきかどうかがわからない。言うべきじゃない気がする。でも、この機会を逃し
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