面接(16)/虹村 凌
の上に乗せていた。
「ちゃんと冷やした?」
「うん」
彼女は首から上だけ天井を向いたままで答えた。
「もうちょっとで、お風呂入るから」
「うん」
「入浴剤、入れる?」
「この前、ラッシュで買った奴がいいな」
「ん」
俺は洗面所に戻って、入浴剤を出すと、風呂場の入り口に置いた。お湯が溜まっていくのを見ながら、煙草に火をつける。湿った空気が、浴室から洗面所に流れ出る。
気がつくと、彼女が後ろに立っていた。
「もう、お湯溜まった?」
「ん?あぁ、もう少しかな」
「二人で入っても、まだかな」
「二人で入れば、もういいかも」
「じゃあ、入ろう
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