面接(5)/虹村 凌
った缶珈琲を一口飲んだ。ポケットに手を入れて、さっきセブンスターを吸いきってしまった事を思い出した。すると彼女はそれを察したのか、ピースを取り出して、俺に差し出した。タイミングの悪さにも、この画にも、何だか情けなさを通り越して、おかしさが腹から込み上げてきた。
「行きましょうか」
彼女と並んで、駅までの道を戻る。まばらだった人影は段々と増え、車の通りも増えていった。くすぐったいような、何だか得体の知れない感情が、ふつふつと沸きあがる。
こういう発作みたいなのは、別に今みたいな状況じゃなくてもよくある。スクランブル交差点の真ん中で、「ごめんなさい!」とか「冗談じゃねぇ!」とか叫んだりし
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