面接(7)/虹村 凌
 
混ぜる。お湯がザバザバと溢れ出し、その度に足を洗う。ひとしきりかき混ぜたところで、浴び湯をして浴槽に体を沈めた。矢張り、お湯が溢れて流れていく。
 深いため息をつく。幸せが逃げるらしいが、もう、よくわからない。何時になったら、見えなくなるんだろう。時々見える幻影が、幻聴が、ずっと俺を悩ませている。そしてそれは、ただの幻視や幻聴ではなく、実際にあった事を、ずっと再生しているのだ。だから、苦しい。何時もだったら、見えようが聞こえようが、俺は無視していたが、今日はそうも行かなかった。やっと、この指に届いたんだ。頼む、もう、俺を解放させてくれ。
「駄目だね」
 浴槽の外、それも下側から俺の声が聞こえ
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