面接(7)/虹村 凌
。何本目かの電車が通り過ぎた時に、誰もいない筈の和室に、誰かいるのが見えた。俺は二本目のピースを口に咥えると、一本目のピースで火をつけ、短くなったそれを灰皿に放り込んだ。ジュッと音を立てて、真っ赤だった先端が真っ黒に変化した事を教えてくれた。
「ねぇ」
和室の中から、女が呼ぶ声が聞こえる。
「こっちに、来て」
女の声が、呼んでいる。
俺はピースを口に咥えたまま、その場に立ち尽くしていた。
「寒いの」
脂汗が滲み出る。ジリジリと、ピースの先端が音を立てながら燃えている。
「もっと近くに来ていいよ」
我慢出来なくなった俺は、和室に飛び込んで灯りを点した。勿論、誰もいない。布
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