面接(8)/虹村 凌
 
やしねぇよ」
「二度と現れんじゃねぇ!」
「フン。呼び出すのはお前の癖に」
「とっとと失せろ!」
「じゃーな」
 俺が湯船から顔を出すと、
「ばぁ〜か」
とだけ言って、ニヤけたツラの俺が、湯船の中に消えていった。
 そいつが何時から俺の近くにいるのかわからない。ずっと前から居た気がするけど、つい最近になって出てきたような気もする。勿論、そいつは俺にしか見えない。だけど、俺はそいつ(奴は俺だと言うが)と会話している。独り言なのか、それとも脳内だけで会話しているのかわからない。そいつは、俺が一人の時にしか姿を現さない。俺が狂っているのか?俺の妄想なのか?運動場の隅っこで育てた悪魔の様に、常に俺を見て嘲笑っているそいつを、俺はどうする事も出来ずに居る。孤独と苦痛と不安と後悔と憎しみを、思う存分喰い散らかして育ったそいつは、延々と恐怖を排出し続けている。
   グループ"面接"
   Point(1)