面接(17)/虹村 凌
器棚や、机、椅子などが倒され、カーテンは引き裂かれ、壁には大穴が開いていた。何かの拍子に切れたのだろう、黒い電球がぶら下がり、外の明かりが舞い散る埃を照らしている。幾本ものビームが、彼女の体を貫いている。彼女は窓まで歩み寄り、窓の外に身を乗り出して、ピースに火をつけた。俺は床に転がっていたセブンスターを手に取り、キッチンの換気扇の下で、同じように火をつけた。二つの煙は、まったく絡まる事なく、真っ暗な空と天井へ、それぞれの方向に向かって流れていった。諦めたのか、ドアを叩く音はもう聞こえない。
「…何で、何も言わないの?」
「何かを言う権利は無いだろうから」
「これだけ部屋を荒らされても?
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