犬の名は全て一郎 (お暇な時にでも読んで下さい・・・)/ふるる
たり手を噛んだりするので、一郎は抗議した。華子は一郎の隣に座って尾をちぎれそうに振っている子犬の体を撫でながら、話し始めた。
「一郎ちゃん、盲導犬てご存知。」
「盲導犬?前に新聞で読んだが。」
まだ日本では盲導犬の歴史は浅く、昨年やっと国の補助を得て、盲導犬を育成する施設が整ったと報じられていた。
「私、女学校のお友達のお父様からそのお話を聞いて、とても感心したの。だって、目の見えない方の目になり、足にもなれる犬なのよ。」
「まさか、盲導犬を育てているのか。」
一郎は驚いて目を見張った。
「ご名答。盲導犬はね、1才までは、里親のところで丈夫な体に育てるのよ。うちなら庭を荒らしても
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