犬の名は全て一郎 (お暇な時にでも読んで下さい・・・)/ふるる
ても大丈夫だし、兄弟で飼った方が、情緒が安定するのですって。」
縁側から眺める限りでも、屋敷の大きな庭は、風に乗せて良い香りを運んでくる梅の根元や、青々とした松や池の周りなど、あちこちほじくった後があった。華子の父はそういうものに無頓着で、昔から庭は近所の子供の遊び場のようになっていた。一郎や華子もその庭に遊んでもらったようなものなのだが。
「これはひどくありませんか。」
「これはこれで別の趣じゃ。」
昌造も気に留めていないふうだ。
「ではそれはいいとして、何故みんな一郎なんだ。」
「だって、1才過ぎたら訓練所にやってしまうんだもの。みんな同じ名でいいと思うわ。」
「ではなくて、何故
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