犬の名は全て一郎     (お暇な時にでも読んで下さい・・・)/ふるる
 
。第一ですね、一郎という名の犬を何匹も飼って芸をしこんでいるというのは事実なんですか。」
「うん。世のため、人のためじゃ。芸をしこんどるのは嘘だがな。」
訳が分からず、二の句を告げずに困っていると、きちんと身なりを整えた華子が、薄いガラスの皿に苺を盛ってやって来た。
「とてもおいしいわ。おじい様召し上がる。」
「華子、一郎が説明してくれいと言っているぞ。」
「何のこと。」
「とぼけないでくれ。犬に僕の名前をつけられるのは心外だ。」
「だが、犬と言えば一郎だろう。」
「ちゃかさないで下さい。ちょっと、この犬たちをなんとかして下さい。」
さっきから一郎に興味津々の子犬が、顔を舐めたり
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  グループ"短いおはなし"
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