犬の名は全て一郎     (お暇な時にでも読んで下さい・・・)/ふるる
 

おもしろそうに昌造は声をかけた。バツが悪くて一郎は黙っていたが、華子はぺらぺらとよく喋る。
「そうよ、だって一郎ちゃんは犬がとっても上手なの。たとえば、犬が木の根元でおしっこするでしょう。一郎ちゃんはちゃんと片方の足を上げて真似するのよ。それから、においをかぐときも、犬そっくり。」
「ははあ」
昌造はにこにこ笑って二人を見ている。
一郎はますますいたたまれない気持ちになって、すっくと立ちあがった。
「俺、もう帰る。」
「なによ。まだ少しっか遊んでないよう。」
口を尖らせている華子を置いて、さっさと踵を返す一郎だった。

まあ、そんな仲の良い二人だったが、年頃になるにつれ、遊ぶ
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  グループ"短いおはなし"
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