五十音頭韻ポエムた〜と/佐々宝砂
 
[た]


谷あいの棚田に
焚き火して

鯛焼き食べながら
たまさかの煙草を楽しみながら
大義だなあと狸親父

タナバタさんの竹いるか?と
訊ねるがはやいか
竹林から
たっぷり竹をたずさえてくる

狸親父は
達者にして
短気である

立ち働き
絶え間なく立ち働き
耐え続け

谷あいの棚田にたたずめば
たくらみもたわむれも
ただたまゆら

鯛焼きたいらげて
狸親父は高いびきだ




[ち]


ちかごとぶみに誓ひしは
散りし君との誓ひなり

契れど因み千切られて
千入(ちしほ)に血塗る血の涙

知恵も力も小さくて
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