五十音頭韻ポエムは〜ほ/佐々宝砂
よ
櫃に秘められたひそかな非望を
ひた隠す一筋の非望を
ひとおもいに
広げよ
低く弾く悲歌は
久しく続く日照りの日々に
ひりひりと響き
ひととひとは乾涸らびるだろう
姫君はひねこび
聖はひねりつぶされ
引き合い引き去り引き上げ引き下ろし
ひしめきあいながら
ひととひととは
悲鳴を響かせ合うだろう
[ふ]
不安が
不慣れな不揃いの服のように
吹き寄せ膨らんでゆく
笛を吹こう
吹き飛ばそう
不意打ちの触れあいを
不穏な不毛の深い淵を
塞いでも振り向いても
不安は拭きとれないから
笛を吹こう
吹き飛ば
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