夢について/佐々宝砂
夢のように貴方がやってきて
夢のように恋がはじまって
だけどそれが夢ならどんな夢も私に傷を残さないわ
ナイフを持った男が走ってきても
パンプスのかかとを折ってしまっても
未明のベッドにひとりうなされても
私はなにも失いはしない
でも
夢のように時は過ぎて
私は貴方を失って
それが夢ならめざめてなおこんなにも胸が苦しいわけがなくて
夢のように
ぼんやりと町を歩いて
それが夢であるはずもなくて。
(鈴木Pakiene名義で発表のもの)
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