許せないこと/長谷川智子
 

いくらでもある
吐き出しきれないぐらいある
それにとらわれて夜も眠れないこともある


水滴、集中豪雨と雷光
ガラス越しに映るだけだから 怖くない

どころか
向こう岸の出来事にすら見えてしまう

空は青紫で
水滴は透き通っていて
はねた泥が混じることなく きれいに光を映してた

それを見つめる私

空を見上げると 雲は暗く、そして重く
真ん中はコールタールの渦に見える

不思議に汚いとは思えなかった

懐中時計の針が きっかり4時を指していた
それでも眠気は起こらない

どころか
外を眺めるほど 目が冴え渡っていく



しばらくして 頭の芯がゆらいできた
ようやく眠気が迎えに来たらしい

許せなかったことの残影が
ちらりと頭をかすめた


   グループ"「mind & body」series."
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