風のオマージュ その3/みつべえ
 
燃え初める

 いままで「出て行く」「歩いて行く」者として「彼女」を見ていた読者は、ここで突然「彼女」の前面に運ばれ、「歩いてくる」「彼女」と「出てくる」「朝日」を迎える場所に立たされる。

 おお、燃える町、
 その中を抜剣のように彼女は歩いてくる

 この光景は実に劇的です。のぼる太陽を背にして抜剣(バッケンと力強く読む!)のように歩いてくる逆光線のなかの「彼女」。眩しくて「彼女」の姿がよく見えない。黒い影となってやがてそのまま太陽のなかに溶け込んでしまいそう。ここにいたって「彼女」と「朝日」は同一化される。
 「彼女」こそ太陽なのでした。

 あと終わりの方の詩行は蛇足の
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