風のオマージュ その3/みつべえ
読み進めるにつれ現れてくる朝焼けの空と町の全景が「彼女」の若く凛々しい肉体の律動とあいまって、なんとも言えぬ情趣を呼び起こす。鮮明なイメージ。ここまでくると「何という光明であろう」とか「若々しい勇気であろう」のような、やや説明におちたような詩句も苦にならない。そのまま一気にクライマックスへ突き進む。「彼女」は「北風も氷も一ぺんに踏みつけて」どんどん街路を歩いていくのだが、それにつれて太陽も「彼女が出て来る方から」ずんずん上がってくるのです。まるで「彼女」は「太陽」を背負って、朝の進行よりもはやく歩いているみたい。
彼女が出てくると
町も野道も初めて動き出し
町は真紅の朝日に燃え
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