風のことば/yo-yo
 
西へと
みじかい眠りを繋ぎながら
渦潮の海をわたって
風のくにへ

海の向こうで
山はいつも寝そべっている
近づくと
つぎつぎに隠れてしまう

活火山は豊かな鋭角で
休火山はやさしい放物線で
古い指が
またなぞってしまう

空は雲のためにあった
夏の一日をかけて
雲はひたすら膨らみつづけ
やがて空になった

風のくにでは
生者よりも死者のほうが多い
父の墓は変わらずに
山のてっぺんにあった

迎え火を焚いて
家の中が賑やかになる
父の女はまだ生きているのだろうかと
仏を呼びもどして酒をのむ

声が遠いと母がぼやく
耳の中に豆粒が入ってし
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