灯ろう流し/yo-yo
 
夏の終り
小さなローソクに火を点し
山深い夜の川を
ぼく等はすこしだけ明るくする

澄んだ水を飲み
あふれる流れを浴びて生きた
名もない魂が火となって
再び水に帰る

死んだ人との幾夜か
語る言葉もなかったけれど
火をともすと
光の言葉が見えた

生を明らめ死を明らむ
つぎつぎと灯は
わずかな瀬を照らしながら
闇の方へ消えていく

さいごの花火が美しく昇天し
夜の川がもどる
川上には
しずかに賑わいの街が残った




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