風のうた/yo-yo
夕方の六時に
ミュージックサイレンが鳴る
さみしく愛らしく
いぬのおまわりさん
七つの子のカラスではなく
赤とんぼでもない
ゆうやけこやけでもなく
家路でもなかった
だからときどき
ぼくは迷子になった
古い山の道をだれも知らない
名前を聞いてもわからない
風はただ歌うだけ
ひぐらしの山の上から
盆地の家々の屋根をこえて
むこうの山へと訪ねていく
おまわりさんも知らなかった
逗子の海を愛した詩人を
六十歳で念願のヨットを手に入れたが
まもなく彼が風になった
どんなに滑走したとても
風よりのろい MISS YOSHIMI号
風のうたは ピープー
カモメのうたは ギイヨ ギイヨ
きょうも迷子が泣いている
もうすぐ日が暮れる
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