今夜月明かりに虹を見る/rabbitfighter
に寄せて、空いたスペースに身体を沈ませる。潮風のせいで髪がつめたい。ブランケットからはみ出した君の足の踵に手を伸ばす。眠っている間、人は孤独で、気休めに夢を見る。多分洗面台の棚にあった薬のせいで、君はそんな気休めを拒絶する。まるで島のように、君の身体はベットに沈む。稜線を描く腰のくびれ。さっき見た夕日をまた見たいと思う。日を背にして、雲の輪郭が金色に染まっていた。でももう間に合わないだろう。日は沈み、星が囁き始める。
乗員たちの間で単に「タンカー」と呼ばれるこの船は、建造中に会社が倒産し、解体する目処も立たないままだった大型タンカーを財団が買い取ったものだ。化石燃料を積むはずだったタンク部
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