台風娘/
木屋 亞万
濡れていく景色の中に取り残される
せっかくだから写真を撮るが
背景は傘に隠れてしまっている
ふと鞄をベンチと傘に預けて
2人で雨の遊園地を走る
吹き回る風に混ざりながら
髪も服も肌に張り付けて
元気の無い噴水の前で
写真だ
インスタントなスイッチを
押さずに噴水に投げて
しばし雨女を収納する
懐に温かみを感じながら
滝のように鳴る雨の遊園地
熱帯低気圧が上空を通過していた
いつかの
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