サンセーウ/
木屋 亞万
空から硫酸の降る日
傘は斑に溶けていく
大仏は涙を流し
瓦屋根に湯気が舞う
雲はどこからともなく
地の表面を覆い尽くす
気圧の低い雲の群れが
灰と煙に燻される
拭けば傷つく硝子玉
手から零れて小石の川を
跳ねながら転がり
えぐられていく表面
手には汚い油が付いた
内部から滲み出るものを
拭ったって変わらない
降る酸の中和する掌だ
誰の手にも救われぬ
傷だらけの玉を見て
大仏は静かに泣いた
硫酸の降る午後だった
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