たまり/木屋 亞万
君とずっと話している
僕らの間には水たまり
いろいろ溜まっている
涙怒り汗悲しみ唾喜び不安
水の底にはくぼみがあって
深い溝に感じられるけれど
目の前のたまりはずっと
僕らの関係を深く湛えている
覗きこむといつかの雪が
煙草の火に熱せられて
底に渦巻く君の血と
砂の濁りに混ざってゆく
良いことばかりではなくて
でも上から覗くと美しい
赤茶けた顔の映る横には
白茶けた君の顔が笑っている
もうすぐ夏だから肌はまた
生き生きとした野性の茶になる
君はまだ電線のない砂利道
脇にはハコベねこじゃらし
大きめなカーキのワンピース
白いニットのカーディガン
履
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