夜光列車/木屋 亞万
 
子でした
楽しければ笑うし、可笑しければ笑う
気に入らなければ癇癪を起こして、暴れるし、泣く
でもある日、泣くことを禁止されるのです
それは空に雨を降らせるなというようなものです
男の子はそれから、笑いも泣きもしません
晴れた熱で蒸発した水が、雨の源なのです
雨上がりだからこそ、晴天がカラリと光るのに
それ以来、この辺りはずっと雪で、この列車も動きません」

列車はどこからともなく伸びてくる電線から
電気を供給して、車内の灯りを維持している
真夜中の雪原でこの列車だけが光る、その光に雪は集まってくる
虫たちも寒さに負けず、飛んで灯に入る夢を見て
次から次へと窓ガラスに羽
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