喋る猫/1486 106
いつしか猫は姿を消した
人々は次第に喋る猫のことを忘れていった
ある少年がかくれんぼの途中
森の奥で小さな洞窟を見つけた
小さな音が聞こえたので中に入ってみると
年老いた喋る猫がいた
横には小さな猫が三匹
少年は喋る猫のことを絵本で読んでいたので
目の当たりにしてもさほど恐がらなかった
好奇心が先行したんだろう
喋る猫は少年に話し掛けた
「私はもうじき死んでいくだろう
この子猫達は私がいなければ生きていけない
どうか私の代わりに育ててやってくれないか?」
そう言い残すと喋る猫は動かなくなった
少年は猫をニワトリ小屋のそばに埋めてあげた
少年は遺言通り三匹の子猫を連れ帰った
しかし親や大人達は誰も子猫を引き取らなかった
子猫は喋ることができなかったから
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