彼女の時/よしおかさくら
ながら
澄んだ声で告げる
本当のような嘘を
ハンドバッグが揺れる
彼女は砂時計を取り出すと
ひっくり返して置いて行った。
時間をうまくつかまえられた例は無かった
今夜は初めて定刻通りにコトがすすんだ
彼女の時間を腕のなかに閉じ込めたはずが……
バスルームから水音が聞こえていたのは
いつのことだろう?
冷たい囁きが鼓膜を
くすぐっていたのはいつだったんだ?
彼女の途切れがちの声が
耳に流れ込んでいたのはいつだ?
彼女の時間のなかに俺は居るのか?
彼女はお金に
嘘をつかない
好きな物を好きなだけ
買う
彼女は眠る
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