今/よしおかさくら
朝がわたしを起こす
光の言いなりに顔を洗ってそれから
わたしは適当な時間が来るまで時間を潰そうとしている
適当な時間
適当な時間
適当な時間
被害者Ａが言った
被害者Ｂが言った
被害者Ｃが言った
そうよ、適当な時間
わたしが正確に返事をする
適当な時間というのはつまり
被害者Ｂが言いかけた
待ち合わせに遅れてばかりいたくせに
被害者Ｃが叫んだ
それってどういう意味なんだい？
被害者Ａがハモってくれた
適当な時間、或いは適当な気持ちよ
彼らに背を向けて窓の外を見る
青空には雲が走っている
おおーい、と声がした
あいつはと被害者のなかの誰かが聞いた時にはわたしはもういなかった
適当な時間と適当な気持ちが同時に現れたのだ
おおーい
はーい、今、参ります
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