沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えている(3)/ホロウ・シカエルボク
とは出来ない。何らかの理由をもった、一個の生体であると知ることが出来ない。イマジネーションとは個体の認識だ…イマジネーションとは、空を飛び交う電波のようなものだ。それをキャッチするアンテナがそれぞれの個体なのだ。アンテナは電波をキャッチして画像なり何なりに変える。そこに意味が産まれる(腐臭は目をそらしたまま依然として動こうとしない)。いま俺は意味と言ったが、それは意味で無くてもかまわない。意味など無くてもかまわない。何を言っているのだ、と思うか?しかし実際、意味など在ると言ったところで無いときには無い、在るときには在る―だって意味だって、イマジネーションの一部に違いないじゃないか。イマジネーションが無ければ現世などただの景色に過ぎない。おい、と俺は腐臭に声を掛けた。やつは微動だにしなかったが、狼狽はいつしか哀しみに変わっていた。
前 次 グループ"沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えている"
編 削 Point(1)