沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えている(4)/ホロウ・シカエルボク
 
人の人間の中に明確な基準点など本当は在りはしないのだ―そいつが膿を持っていないとき、空腹に喘いでいるときがあったかもしれない。喉の渇きにイラついているときがあったかもしれない。誰かのことを考えていたかもしれない。誰のことも考えてはいなかったかもしれない。ぼんやりとしていただけかもしれない。ただぼんやりと勃起していたかもしれない。そしてそれをぼんやりと自制していたかもしれない。

鼻の中が炙られたみたいに渇いて傷みが走る。
強烈に自己主張する腐臭が脳天まで突き上げて正常な判断を鈍らせる。そんな感覚を長くまといつかせてしまっているせいだ。そんな感覚を長くまといつかせ続けていると、心は次第に辺鄙な
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