沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えている(4)/ホロウ・シカエルボク
を持っていないそいつは欠損をひとつ抱えていることになりはしないだろうか?いや、もちろん言いたいことは判る。膿など残しておいたところで何の役にも立ちはしない、それは大方の場合、所有している誰かを様々な理由で煩わせるだけの厄介な存在なのだ、にも関わらず。
それは間違いなくひとつの欠損として認識されることになる。その時点での記録を基準とするならば、膿が無くなっていようが頭が無くなっていようが、腕が一本無くなっていようが、ただの一個の欠損という認識に過ぎないのだ。いや、でももともとそいつには膿など無かったのだから―もちろんそうだ。記録を参照するならば正しい記憶をというわけだ。しかし、しかしだ―この一人の
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