沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えている(6・完結)/ホロウ・シカエルボク
 

腐臭の指先はぶるぶると震えながら俺の喉元に食いこんでくる、その震えの中にあるものはきっと、怒りに限りなく近い哀しみなのだろうと俺は感じた。ぼんやりと、白色に溶け始めた希薄な脳髄の中で。怒りに限りなく近い哀しみ。右目の奥の方辺りで脳味噌が、無意識にそのフレーズを何度も繰り返した、怒りに限りなく近い哀しみ、怒りに限りなく近い哀しみ…それは結局、途方も無い哀しみでしかない。そこに猛るような気の渦がある分だけ余計に、途方も無い哀しみでしかない…腐臭の指先は途方も無い哀しみにぶるぶると震えていた、奴のどこか釈然としない存在の中にその欠片を認めるまでにひどく無駄な時間を費やしたような気がした、もっと早く奴
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