君は、季節をはずれてしまった/たりぽん(大理 奔)
 
明日を、呼ぶ言葉は
失われてしまった
先程くべた小さな薪が
二人に残された最後の言葉

炎を囲んでいるというのに
横たわるこの夜の湿気は何だ
天赤道上の星の名を詠んでも
横たわるこの
暗闇は

  冬の蝉が鳴いている
  恋の焔をうたいあげる
  ちいさなひとかけら
 
  あの大きな夢のように
  樹液だけで生きていけたら
  静かな朝の、微かな気配が薫るだろう
  激しい夜の、嵐の恐怖が薫るだろう
  (寂しい冬の、土の味が薫るだろう)

薪の住処が崩れ
火の粉が天の川に溶け込んで
静寂の残像が
今日の手綱を引き寄せる

  蝉よ、もっと鳴け
  狂ったような孤独も
  お前ならわかるだろう
  ほんの一瞬の太陽を
  その濁った羽根に受ける喜びも
  ペルシアの宝石色した

  やさしい嘘も
  







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