連作「歌う川」より その3/岡部淳太郎
 
の歌は
もうひとつの そして無数の
ひとつぶの歌と交差して
銀河の中できらめく
広大無辺の
神聖なるコーラス
それは今夜だけでなく
宇宙が誕生した時からずっと
鳴りつづけていた歌
人類は見ていた
天上で交わされる
歌の口づけを

祈る人は知る
自らの歌が
ひとつぶの声であることを
彼は川べりを歩きながら
無数のひとつぶの声に耳をすます
人は
ひとつぶの水 すべての生命の中の
地球は
ひとつぶの水 すべての星々の中の
ひとつぶずつの
声と
水が
あつまって
ひとつの大きな川
大きな歌になる
その流れ その旋律は
宇宙の全存在を
次の時代へと
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