■批評祭参加作品■木葉揺 その個性の行方/岡部淳太郎
 
リズムと一行目からたたみかけられるこうした詩行の効果で、たとえ意味がわからなくても読者はすんなりと詩の中に入っていくことが出来る。だが、次の2連目が問題だ。この三行はいっけん1連目と同じような奇妙な言葉であるように見えるが、詩人の個性とは真逆の「普通の地平」に落ちこんでいると思う。これにつづく3連目の「試合終了〜/は十年後まで待ってください」の二行も同様だ。どう言えばいいのだろうか。ここには詩人の外部(おそらく詩人が暮らす日常)からやって来た言葉がそ知らぬ顔で詩の中に居座っている。この後につづく残りの詩行にはこの詩人らしい個性的な言葉が連ねられているだけに、この2連目(と3連目の冒頭二行)には違和
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