姫と王子/蒸発王
激しい炎のせいか
皮膚は崩れる寸前で
外気に触れて溶け出さないように
包帯に包まれた
そんな状態で
王子は生かされ続けていた
其の息は
国の懐刀として
残党への脅迫として
静かに潜んだ
※※※
私が病室を訪れると
彼は穏やかな顔をしていた
今日の調子は良い
私にできる事は
いつもの朗読と
いつもの紅茶
善く眠れない彼のために
私が作った
今日は少し新しい葉を入れてみようと思う
話すのは他愛もないこと
新聞 噂 愛読書 詩 歌と
話し疲れたのか
言葉が少なくなった
(少し長く眠りたいんだ)
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