遠雷?解体されながら/前田ふむふむ
手にしたのは、一握りの、微量の鼓動、
まだ動いている、確かな鼓動。
解体されたときが、鶏の声で目覚める。
水底から浮かび上がる、新しい街。
玄関を、乾いた一陣の風が跨ぎ、
わたしは、新しい鍵を、もって佇む。
佇み続けている。
太陽の届かない部屋が見える――。
だれも訪れない居間が、見える、
テーブルの静物が、
微細な空調の音に震えている――。
寝室の窓を開けて、眩い冬のはじまりを、
浴びると、ゆるい暖かみが、
わたしの、いつまでも、起き上がれない、
眠る血液に、静か
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