「袖道」/m.qyi
 
片方の手に小さな人が絡み付いていまして

手の方が正直な男だと思いました

放課後の静まりかえった女子トイレ金魚が一つ産み落とされる

檻越しに丸まる兎の目に似てる真っ赤に濡れたわたしの両目

ごめんなさいは
炭酸水でいう
ちょうど三十分後と同じだ

おかあさんあなたの中へもう一度

わたし
ねじが外れていなくて
あの子ではなくてよかったわ

同じポーズをして
とった写真を
くつのうらに貼って

わたし
パンパンに膨らんだ頭の中から
飛び出してきた

を集めてみても、同じ人、同じ風景、同じ単語、同じ言葉、いつもおなじいつもおなじお
なじおなじお
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