ふとしたはずみで思い出す/ふるる
、それまでは全然遊んでもらった記憶がなくって、ちぇっと思っていたのが、ああなんだ、遊んでくれたこともあったんじゃないか、と思い直したりして。
そういうふとしたはずみって、どこに転がっているか分からないです。
ふとしたはずみに、穴が埋まってゆく。足りないと思っていたものが、実は足りていたんだとか。穴じゃないと思っていたところが、実はまだ穴だったとか。
そんなわけで、自分は三十代も後半にさしかかったけどまだふにゃふにゃのまんま。どんなに頭のいい人だって、生まれてから全ての記憶を持ってつなげてはいない。
これからだって、去年や一昨年あったことさえどんどん忘れていって、曖昧な記憶を必要なも
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