「脳梗塞」/広川 孝治
リハビリをさせる
ただ座るだけのことがこんなに苦しいなんて
つばを飲み込めないから
口元から垂れる
こんなにみっともない姿をさらすのがいやだから
わたしはリハビリが嫌い
でも長男は厳しい
必ず毎日三十分
熱がない限りリハビリをさせられる
次男は器用だ
痰が詰まったとき
一番上手に吸引してくれる
長女は優しい
毎日まいにち
マッサージをしてくれる
全く動かない右半身
つま先から頭の上まで
丁寧に丹念に
お前たちのオムツを換えてたころ
まさか自分がお前たちにそうされるようになるなんて
まったく思ってもみなかった
お前たちに食事を食べさせていたこ
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