スーパーノヴァ/水町綜助
 
が代わりにそれに答える「下戸なんです」答えたあと声のした方角をみやると奇怪で巨大なトンボみたいな電信柱無数に走り絡みつくコードあれは変電器か化け物トンボは羽であるコードを大きく広げその羽はどうやら世界の果てまでも伸びてる錯覚僕たちはその上を音もなく百二十マイルで進む今度は先週の土曜日に乗ったタクシー運転手の禿げたおっさんの声「どこまで乗っていかれますか?」君は寝言を言う「クレタ島まで」僕はため息をひとつ「心臓まで」それは昨日までという意味僕は君の心臓に君の昨日に行きたいんです道順をおしえて

夜は走り続ける
規則正しく並ぶ街灯が流星のように流れ飛ぶ

僕はそのさなかで何度か勝ち鬨の声を
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