寓話/月夜野
いうものでした
未曽有のみらい
を掴むために
あなたは樹に登った
それは進化でしたか
それとも恐ろしい罠だったのでしょうか
森影にはツノのある蛇が潜んでいます
蛇は虚ろな目で空を見上げて
先の割れた舌で空気の臭いを嗅ぎながら
自分の尻尾を追いかけます
どこまでも追い続けます
永遠に
蛇の行く先は どのみち蛇なのでした
折りしも石化した森の上を
夜の黒い翼が覆いはじめる
花々は闇の中に息を潜め
森の王の降臨を待ち続けます
いえ
もしか
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