散文詩「パラダイス イン ミヤコ」/アハウ
 
やわらかな木漏れ日は

 木の上の分の
 さわやかさを
 僕らに
 与えてくれる

二人、木の上に登った。
「麻理、今日も見晴らしが良いね。」
「うん」
「気持ちいい?」
「うん」
「ほら、海の方見てごらんよ、船が出てるよ。今何が取れるんだろ
う。」
木の上ではこの島全体を包み込む海風がいつもいつも吹き続けてい
た。僕はさかんに彼女に話し続ける。その声はこの島の風となって
過ぎ去っていった。彼女はまるで木の上で休みを取る豹のように時
々その重たるい頭を上げ相づちを打つ。僕は今日この木の上で「今
日の発見」を得々と報告する。
 風の花に触れた肌触りや、今日の空の
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