体温/水町綜助
同じ記憶の中の国道
僕が速く速く時を回すために
まるで時計みたいな二つの車輪を
息も出来ないくらいのスピードが出るまで
回し続けていたとき
あなたは僕の
風で絡んだぱさついた髪の毛に
「でも車輪は時計とは逆に回っているよ」
とつぶやいて聞かせた
僕は途方に暮れて
町の上にぽっかりと空いた
重大なミステイクみたいな空を仰いだ
それは遠い遠い彼方とでもいいたくなるような青色で
さみしいかわりにとても綺麗な色だった
僕は車輪を止め
冬の空気にさらした冷たい体その体温を
頬を触って感じた
失望と挫
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