体温/水町綜助
と挫折は僕に挨拶を
恋愛は革命で僕に強いKICKを
まぁじっさいはそのどれもが
訪れた瞬間に去ってしまっていたのだけれど
あとはFREEWHEELでさして大変じゃない
熾火は僕の頬を赤く染めた
まだ冷たい体には二文字の名前の付いた二十一歳の血の袋
僕はなめらかなそれを強く抱きしめて
とけようとして
頭の中が白くなるほど強く抱きしめて
あたたまって
あたたまって
つぶやいて
うらぎって
うらぎって
うらぎって
あたたまって
すてた
知らない町の中のアパートの一部屋に
もう無くなったあたたかな体温
あたりまえのように風景は流れだし
車輪は回りだした
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