夕日のマフラー/杉菜 晃
てこなかった
彼は諦めたか
あきらめない
掘り進め 掘り拡げているうちに
彼は別の生き物を見つけた
大ミミズや 冬眠中の蛇
男はそれを蛙の化け物と考えたから
魔法がとけて
蛙になるまで
路傍に坐って待った
タンスの裏に逃げ込んだ
ネズミが現れるのを
忍耐強く待つ猫のように
男は待ち続けた
犬のように地面を掘った男は
今度は猫のように待った
その結果 魔法がとけて蛙になったか
実はあまりにも地面を掘るのに
精魂を傾けすぎたために
眠くなってしまい
うとうとしているうちに
ミミズや蛇はそれぞれ
土に潜り込んでしまったのだ
目覚めた彼は
蛙どころか
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