花瓶の底、龍の眼/はらだまさる
のなかで、
迷子に、
なって、
しまった、
水鳥の、
ようだけど、
飛び方も、
鳴き方も、
忘れちまった、
みたいだし、
一番、
大事なものが、
足りなくて、
息が、
出来ない、
昨日まで、
新聞の、
記事にも、
ならない、
下らない、
わがままで、
人生を、
オールバックにして、
不貞腐れていた、
お前と、
コアントローで、
綺麗に、
シコシコと、
磨いた、
手首を、
くんくん、
くんくん、
嗅いでみると、
燐寸の火で、
真っ黒に、
焦がした、
灰皿のうえの、
最後の、
銀杏の、
焦げ目から、
龍が、
一匹
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